出力形式という言葉に、あまりピンと来なければ、ユーザーの利用のしかた、という言葉に置き換えた方が理解しやすいかもしれません。
全てのユーザーにとって利用しやすい、アクセシブルなウェブを実現するためには、様々なユーザーの利用の仕方がある事実を知ることが非常に有効です。
言うまでも無く、ユーザーの利用環境は実に様々です。全てのユーザーが、ウインドウズマシンを利用しているとは限りませんし、画面解像度の高い大型のモニターを利用しているかどうかもわかりません。全てのユーザーが、インターネットエクスプローラーの、しかも最新のバージョンを利用しているわけではありません。
企業などのイントラネット経由でインターネットを利用している場合、クリックひとつで最新のアプリケーションをダウンロードするという訳にはいきませんので、例えばSWF形式のファイルですら、100%全てのユーザーが利用できるわけではありません。
全てのユーザーが、マウスを使ってブラウザの操作をしているわけではありませんし、そもそも全てのユーザーがパソコンを使ってアクセスしているという前提は、はたして正しいものと言えるのでしょうか?
もちろんパソコンを利用したアクセスが、最大多数の層を占めているという事は、統計上のデータを見るまでもなく、明らかです。しかしながら、このような現状は、単なる通過点にしか過ぎないのかもしれません。
W.W.W.上にアップロードされたドキュメントは、特別なプロテクトをかけられない限り、誰でも、自由に、しかも世界中から利用(アクセス)することが可能になります。つまりウェブ上のサーバーは、ある意味公共のスペースと考えるべきです。したがって、このようなユーザーの利用のしかたを、サイト管理者側でコントロールすることは、事実上不可能ですし、またそうすべきではありません。
このようにユーザーの利用のしかた(利用環境)は、千差万別です。さらに付け加えるならば、このように様々な利用のしかたを可能にしているという事実が、ウェブの世界を、さらに利用価値の高いものにしているとも言えます。
もちろんユーザーの利用のしかたを、全て完全に把握する事など、現実的には不可能です。しかしながら、まずはユーザーの利用のしかたの多様性を理解し、現実的に問題となりがちな要素を認識し、さらに改善を加えていく事が、ウェブアクセシビリティーを実現していくための、具体的なプロセスになります。
選択の自由を尊重することや、正しく理解して、受け入れる事の大切さは、現実の世界でもウェブの世界でも何ら変わるものではありません。
もし可能であれば、実際に体験してみるのも大切です。
もしもあなたがウェブにアクセス可能な携帯電話を持っているならば、一度ぐらいは携帯電話を使ってウェブにアクセスしてみるのも悪くない。IMG要素(画像)に適切な代替テキストを付けることが、どれだけユーザーのブラウジングの手助けになるか、身をもって実感できるだろう。サイトによっては、門前払いを食らってしまって、かなり嫌な気分を味わえます。
適切な代替テキストを付けることは、もちろん音声ブラウザを利用するユーザーにとっても恩恵をもたらしますが、代替テキストの内容が不適当だった場合は、かえってユーザーに混乱をもたらす場合もあります。
音声ブラウザとは、ウェブページの内容を音声で出力するブラウザの一種ですが、知識として、その存在を知ってはいても、実際に使用した経験のある方は、あまり沢山はいらっしゃらないと思います。
日本IBMのサイトから「ホームページリーダー」の体験版を、無料でダウンロードすることができます。試用期間は30日間ですが、音声によるウェブの利用価値を体験してみるには充分です。実際に使用してみることで何か、新しい発見があるかもしれません。